Skip to main content

業務フロー図の書き方

はじめに

プロジェクトの成功を左右する業務フロー図。この一見シンプルなドキュメントには、企業の業務プロセスの核心が詰まっています。業務フロー図が、どのように業務を進行させ、どのように人間とシステムが連携するのかを視覚化する重要なツールです。

社内SEとして、プロジェクトの初期段階で要件定義を行う際に、業務フロー図の作成は欠かせません。既存の業務フロー(AS-IS)と新規の業務フロー(TO-BE)を明確にし、適切なシステム設計へとつなげるための基盤となります。

しかし、業務フロー図を作成する過程は容易ではありません。業務ユーザーとの連携、情報の粒度の調整、業務の詳細化といった要素が絡み合い、複雑な作業になることが少なくありません。

本記事では、そのような課題を解決し、効果的に業務フロー図を作成するための具体的なガイドラインを提供します。記事の内容は、初めて業務フロー図に取り組む方から経験豊富な方まで、幅広く役立つ内容となっております。

最適な業務フロー図の作成方法を学び、プロジェクトの成功への第一歩を踏み出しましょう。

業務フロー図とは

業務フロー図は、企業や組織内での業務プロセスを視覚化するための図式化された表現方法です。具体的な業務手順や、関連する部門、使用するシステムなどを一覧にして、業務の流れを明確に理解するための重要なドキュメントとなります。

定義と意義

業務フロー図は、人間がシステムを使って業務を流す設計を明文化したもので、プロジェクトの成功・失敗にかかわる重要なドキュメントです。これを用いることで、業務の全体像が把握でき、非効率な業務フローやボトルネックを明らかにし、改善の方向性を探ることが可能になります。

AS-ISとTO-BEの概念の説明

業務フロー図の作成は、通常、プロジェクトの要件定義の段階で行われます。ここでは主に2つのフロー図が作成されることが一般的です。

AS-IS(現状): 現在の業務フローをそのまま表現したもので、現在の業務プロセスの問題点や改善の余地を分析するために使用されます。 TO-BE(目指すべき状態): 新しい業務フローを設計する際のガイドとなるもので、現状の改善点を踏まえて効率的な業務プロセスを形にするために作成されます。 これらの業務フロー図は、プロジェクトの目的や目標に応じて設計され、システムの開発や業務の改善方針の策定に不可欠な要素となります。

業務フロー図の作成者とその役割

業務フロー図の作成は、プロジェクトの初期段階で欠かせないプロセスであり、その作成には多岐にわたる役割が組み合わさっています。以下、主な作成者とその役割について解説します。

業務ユーザーの役割

業務フローの作成は本来、業務ユーザーの仕事です。業務ユーザーはその業務プロセスに精通しているため、現状の業務フロー(AS-IS)の把握と新しい業務フロー(TO-BE)の設計に不可欠な存在です。しかし、業務が書けない・書かない場合も少なくありません。

システム側(社内SE等)の役割

業務ユーザーが業務フローを書けない、または書かない場合、システム側(主に社内SEなど)がたたき台を作成したり支援したりする必要があります。システム側は、業務ユーザーと協力して業務の深堀りを行い、業務の効率化や改善を図るための新しい業務フローを設計します。

連携とコミュニケーションの重要性

業務フロー図の作成プロセスは、業務ユーザーとシステム側の密接な連携とコミュニケーションに依存します。明確な業務フローを作成するためには、双方の協力と理解、そして正確な情報の共有が不可欠です。

わかりやすい業務フロー図のポイント

業務フロー図の作成にあたっては、効果的なコミュニケーションツールとして機能させるため、以下のポイントに注意することが重要です。

  1. 業務フローの目的を正しく理解する 業務フロー図の目的は何か、その目的に合致した内容であるか常に確認することが大切です。目的が不明確な業務フロー図は、誤解を生む可能性があります。

  2. 情報の粒度・書き方をそろえる 情報の細かさや表現方法を統一することで、読み手が業務フロー図をスムーズに理解できるようにします。

  3. 業務フローを作ることを目的にしない 業務フロー図を単なる文書化の作業として捉えず、業務改善やコミュニケーションの手段としての側面を重視することが求められます。

  4. システム要件を洗い出す 業務フロー図からシステムの要件を明確にすることで、開発プロセスにおける方向性を明確化します。

  5. 業務フローのテンプレートやサンプルを利用して、書き方に統一感を持たせる 既存のテンプレートやサンプルを活用することで、効率的に統一感のある業務フロー図を作成できます。

  6. 業務フローに記載する情報の抽象度を合わせる 情報の抽象度がばらばらだと読み手が理解しにくくなります。適切な抽象度で情報を整理し、わかりやすく表現します。

  7. 業務フローを適切に絞り・メリハリをつける 全てを一枚の図に詰め込むのではなく、必要な部分を深堀りし、別シートに詳細化するなど工夫が必要です。

まとめ

業務フロー図の作成は、プロジェクトの成功にとって欠かせないプロセスであり、多岐にわたる要素が影響します。この記事では、業務フロー図の重要性と定義、主な作成者とその役割、そしてわかりやすい業務フロー図を作成するためのポイントを解説しました。

業務フロー図の重要性: これはプロジェクトの成功・失敗に直結するドキュメントで、システムを用いた業務の流れを明文化します。

作成者とその役割: 業務ユーザーとシステム側が連携し、各自の役割を理解しながら業務フロー図を作成します。

わかりやすい業務フロー図のポイント: 目的の理解、情報の粒度の統一、テンプレートの利用など、効果的な業務フロー図作成のためのキーとなる要素を把握します。

業務フロー図は単なるドキュメント作成ではなく、業務理解、コミュニケーション促進、業務改善の重要な道具であると捉えるべきです。このガイドを参考に、明確で効果的な業務フロー図を作成することで、プロジェクトの進展と業務の質を向上させることができるでしょう。